伝えられない苦しみ

憧れのフランスに語学留学したのは、25歳の時でした。留学前のフランス語レベルは初級。でも、現地に行けば、きっと話せるようになるだろうと決めた留学でした。
留学当初は、ホームステイをしながら、私立の語学学校に通っていました。学校でのストレスはありませんでしたが、ホームステイ先では、マダムとうまく会話できず、落ち込む日々。同時期に一緒にホームステイしていたメキシコ人は、マダムとの会話は弾んでいるし、嫌いな食べ物は食べない、シャワーも希望の時間に使うなど、好きなように暮らしていました。私はというと、食事で苦手な食材が出てきても、我慢して食べるだけ。
そのうち、学校からホームステイ先に帰ることが苦痛になり、ついに留学から2ヶ月経ったある日、25歳にもなって学校で大泣してしまいました。拙いフランス語で先生に、ホームステイ先でマダムと話せず辛いこと事を訴えました。我に返ると、恥ずかしくて仕方ありませんが、同時に、心のモヤモヤがスーっと晴れたように感じました。
そこで、マダムにも同じように気持ちを伝える事に。今までまともに会話が出来ず、思ったことを伝えられず、本当に辛かったと。そうすると、次の日から、明らかにマダムの態度が変わりました。様々な場面で、注意を払ってくれるようになったのです。
ここで、自分の気持ちを伝えることがどれだけ大切なのか気がつきました。そして、伝えることで、状況は変えられるんだと。
それからは、うまく話せなくても、とりあえず気持ちを伝えることにしています。辛かったホームステイ生活ですが、あの時の経験が、私を少し強くしてくれたかなと思います。